2017年05月30日
TANNOY Stirling/GR 展示しました。
新たに芦屋リスニングルームに加わったのは
英国の老舗として知られる TANNOYの Stirling/GR です。
以前にも TANNOY のSP としては Turnberry/SE を展示していたことがありますが、
今回はそれに続いての登場です。
早速、システムに組み込んで音出しをしてみました。
SACDプレーヤーはDENON DCD-SX1、 アンプが Luxman L-590AXMk2です。
一聴して気が付くのは、音の濃さ、です。
深情け、とでもいうのでしょうか、ともかく情感豊かに音楽を聴かせます。
決して超ワイドレンジではありませんが、琴線に触れるところを心得ているのはさすがです。
音色がややウェットになるのは英国のシステムによく見かける傾向ですが、
品があり、落ち着いた再生音はクラッシックの再生ではむしろ好ましいと思われます。
ロック、またはポップスを中心に置いた聴き方をする場合には
同じ英国でもハーベスやKEFなどの新しい世代のスピーカーがより適するかもしれません。
いずれにしてもハード・ロックは向きません。
それならば同じ英国でもATCやPMC、あるいはB&Wといった新世代のモニタースピーカーの
出番でしょうし、米国系のスピーカーならば更に良い結果を得られるでしょう。
音色がややウェットというところからも想像できるように、クラッシックにターゲットを絞った場合でも
パーカッションやピアノの高音弦などは少しくすんだ響きに感じるかもしれません。
一方、弦楽器における色彩感の鮮やかさや深々とした響き、とりわけホール・トーンの豊かさは
抜群のものがあります。
先に述べたハーベスなども同じ特徴を持っていますが、こちらはそれ以上に骨格のしっかりした
再生能力を持ち、一段と深みを増した表現力を聴かせるのは上位クラスの実力でしょう。
かって、ラックスマンのアンプとの組み合わせが「黄金の組合わせ」と呼ばれたことがあるのを
ご記憶の方も多いでしょう。
本機がここで示したものは、まさにそれを受け継ぐものであり、その本質は安直な「原音再生」
ではない「感動」の再現です。
演奏者が目の前にいるような、とは昨今よく聞かれる表現ですが、本機においては
それのみならず、演奏会会場の空気感をも再現します。
最新の装置が達成した、クリアーで広大な音場空間、圧倒的な情報量を誇るシステムから見ると、
この再生音は些か古臭いコンセプトといえるのかもしれません。
しかしながら、このスピーカーから聞こえてきたものは、それらの新しい製品が獲得した
多くの利点とともに失った何かもあるのでは、という気持ちにさせられました。
PRESTIGE GOLD REFERRENCE シリーズの中ではエントリークラスとされる
このStirling/GRですが、TANNOY の魅力を充分に伝えてくれる逸品といえるでしょう。
消えゆく余韻が、実はこれほど複雑な音色を持っていたことに気づかせてくれる、
そんなシステムです。
Stirling GR
希望小売価格 380,000円/台(税抜)
推奨アンプ出力 20~170W
連続許容入力(RMS) 85W
最大許容入力(瞬間) 340W
能率(2.83V/1m) 91dB
インピーダンス 8Ω
周波数特性(-6dB) 39Hz~46kHz
デュアルコンセントリックドライバー
LF(ウーハー) 254mm(10インチ)マルチファイバーペーパーコーン
HF(ツイーター) 25mm(1インチ) アルミマグネシウム合金ドーム
クロスオーバー周波数 1.8kHz
本体寸法(W×H×D) サランネット含む 397mmx850mmx368mm
質量/台 23kg
構造/仕上げ ウォルナット無垢材/突き板仕上げ、高剛性ブレーシング(添木)内部加工
Posted by 河口無線 at 20:09
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